父と娘
さて、彼女の父親が言ったという言葉の内容です。
「娘が大変お世話になったそうで感謝している。
あなた(ふるる)の存在は娘から少し聞いていたが、当然本気ではなく、
軽い付き合いだと思っていた。
しかし、今回の状況(私が夜遅くに彼女の家にいたこと)を考えるとそうでもないようだが、
一体どういうことだ?出来れば早い段階で別れて欲しい。」
と。
正直、私としてはいきなり崖から突き落とされたかのような衝撃を受けましたが、沈痛な表情の彼女は、その後少しずつ、それまで話したことの無かった自分の生い立ちのこと、父親との関係性などについて、ゆっくりと話し始めました。
彼女の父親は元々転勤族だったそうで、彼女が小学校中学年の頃までは転勤を繰り返し、転校して来てやっと友達が出来たと思ったらまた転校 - という感じで、ずっと辛い思いをしていたそうです。
これ以上娘にそんな思いをさせたくないと、一念発起し脱サラ、独学で資格を取得し、生まれ故郷の近隣の市に店舗を構え、自営業を始めました。
サラッと書きましたが、これは本当に凄いことだと思います。
アラフォーになってから、全く畑違いのことに挑戦し、しかも独学でそれを成し得るということ - 掛け値なしに尊敬に値します。
娘を思う気持ち、父親としての強さ - 今の私に必要なのはこういう所なのかも知れませんね💦
しかし、娘を思う気持ち、その愛情の強さ故なのか、はたまたその愛情が正しい方向へ向かなかったのか・・・
彼女の父親は、自分の考えに絶対の自信を持っていて、自分の価値観にそぐわない人のことは、絶対に認めない。更に学歴を重視し、自分より学歴が劣る人に対しては、それだけで軽視するというか、ちょっとすれば見下すようなところがあるそうです。
こと娘に対しては、自分が思う、理想とする道が絶対であるから、その道から少しでも外れようものなら断じて許さない。進学にしろ、就職にしろ、時としては友達関係についても、そして交際相手、ひいては将来の結婚相手のことについても。
いわゆる自分が敷いたレールの上を走らせるという典型で、そこから脱線した時は力ずくで戻そうとする、そのためには暴力も辞さない・・・
ただ、彼女自身が黙ってそれに従っていた訳ではなく、幼い頃から相当反発して来たそうです。でも、結局最後は力ずくで押さえ込まれる・・・その繰り返し。
彼女としては、父親への強烈な反抗心の反面、その行動の全てが娘を思うが故のものだということも分かってはいたので、最後まで反抗しきれなかった部分もあったのだろうと思います。
ただ、少なくとも、せめてもう少しでも自分の思うように生きたい、自由になりたいという思いは常にあったのだろうと思います。
彼女は、地元の高校を卒業後、車で1時間程の近隣の市の短大へ進学しました。
寮での下宿生活を経て、卒業後同市の企業(私と同じ職場)へ就職、その際、アパートを借りて一人暮らしを始め、今日に至る - です。
彼女にとっては、初めて親元を離れ、初めて手に入れた自由です。自分らしく生きていける権利です。
しかし、一人暮らしとは名ばかり、父親からのかなりの干渉と束縛に苦しめられていたことは、想像に難くありませんでした。
次回に続きます。