呪縛からの逃避
さて、やっと本題に繋がっていきます。
父親からの干渉や束縛から逃れたい、何とか一時でもいい、気晴らしというか気分転換というか、とにかく、日々を頑張っていく気力を取り戻すために・・・
きれいな景色を見に行こう。
二人とも、特にアウトドア派という訳ではなかったのですが、共通して自然というか、景色を見るのが好きでした。山や海はもちろん、極端な話、何にもない普通の田舎道を走っているだけでも、心が和むというところがありました。
という訳で、既に休日にはたびたびドライブへ出かけていました。
最初はそれで満たされていました。
でも、日増しに強くなっていく父親からの干渉、束縛、言葉の暴力、本当の暴力・・・
そのうち彼女は、もっと遠くへ行きたい、知らない場所へ行きたい - そう言い出しました。
言葉には出しませんでしたが、そこには「父親から離れたい」という強烈な想いがあったことは言うまでもありません。
私としても、何とか彼女を元気づけたい、彼女の望みを叶えてあげたい - そういう思いから、休日の度に遠くまでドライブへ行くようになりました。
知らない景色、知らない場所、当時携帯電話を持っていなかった彼女にしてみれば、父親からの所在確認の電話に怯えることも無い・・・まさに、自由を手に入れたような気分だったのではないでしょうか。
ただ、当然自宅には電話がかかって来るはずなので、外出先の公衆電話から、逆に自分から父親に電話を入れていました。友達と遊んでいるとか、適当な理由をつけて。
しかし、自由を手に入れたと言っても、それは所詮つかの間のものです。
楽しい時間には必ず終わりが来ます。そして現実に戻らねばなりません。明日からは、また父親の干渉と束縛に耐える毎日です。
旅先から電話を入れているとは言え、あの父親のこと、まともに信用しているはずはありません。
更に厳しくなる干渉、束縛、そしてそれから逃れるように遠くへ・・・その繰り返し。
激しくなる父親の言動に比例するように、外出先もどんどん遠くなって行き、ついには外泊もするようになって行きました。
そして、それに反比例するように、私の貯金は見る見る減って行きました( ;∀;)
結局、彼女を救うため、彼女のためにと言いながら、私自身も現実から逃げていたのだと思います。
もっと別の方法で彼女を守ることが出来ていれば、本当の強さを持っていれば、その先に待つ未来は、色々と変わっていたのだろうと思います。
しかし、そのことに気付くのはもっとずっと後の話。
そして、ついに来るべき時が来ました。
次回へ続きます。